児童間性暴力「0」へのロードマップ
2021年3月8日 美さと児童園(沖縄県)
「児童間性暴力ゼロへのロードマップ」のモデル実施として、当研究会の担当者と施設側のコアメンバーによる第1回目の会議を開催しました。
アイスブレイクを兼ねた自己紹介の後、各施設に合わせたロードマップを実施するにあたって、施設内での取り組みや課題を共有し、今後の方向性や展開を話し合いました。
本来、性に関する問題意識や許容範囲には多様性があって当然ですが、「美さと児童園」では、その多様性という観点から、容認できるか否かという考え方の違いで、職員間の足並みが揃いにくいという課題に直面しているという意見が挙がりました。
研修などによる学び方よりも、ワークショップのような形で、まずは職員間の性への意識の差や考え方を認め合うことを目標に、今後、できるだけ多くの職員が参加できるイベントを企画してくこととなりました。
2021年3月9日 愛隣園(沖縄県)
上江洲施設長からご挨拶をいただき、アイスブレイクを兼ねた自己紹介の後、当研究会からロードマップについて説明させていただきました。そして、当研究会が全国の施設で調査した結果から導き出された児童間性暴力についての傾向についてお伝えしました。施設の皆さんには、大変興味深く聞いていただけました。そして、施設の実情や過去の性暴力事案から今活かされていることや工夫した点、また、施設独自に取り組んでいる性教育やプログラム等を手作りの人形劇や紙芝居YouTube等を用いているとお聞きしました。その後は今後の打ち合わせを行い、職員間の性についての認識の足並みをそろえながら性化行動の見分け方、過去の性暴力事案を現在の職員にも共有するためにも事例検討を行うこととなりました。
2021年3月25日 横浜家庭学園(神奈川県)
はじめに、研究会メンバーの自己紹介とアイスブレイクを実施し、これからのワーキングでの内容や今後の方向性を共有しました。
つぎに、モデル事業についてパワーポイントを使用し、ロードマップの説明を行い、施設内での児童間性暴力事案の実態や傾向、施設職員の対応について、過去の全国調査の結果をもとにお伝えしました。
そして、今回のワーキングはステップ1に当たる環境づくりであったため、当研究会の目的、モデル事業の主旨や今後の方向性を理解していただきました。
さらに、各職員が不安に思っていることについて、当研究会メンバーを交え、議論を行いました。議論の中で、新人職員も性暴力に対面した時の対応、性別ならではのケースなどについても質問があり、実際に施設内で起きた児童間の性問題について、「自分たちの行動や対応は正しかったのか」「施設内で共有していくにはどうしたらいいのか」といった意見などが挙がりました。
また、女子児童のみの児童自立支援施設という点において、女子児童の二次性徴の視点や児童同士の関係性から出てくる課題についても議論を行いました。
次回は、コアメンバーと、施設で起きた過去の事例についてカンファレンス、アセスメントをおこない、施設にフィードバックしていく予定です。
2021年7月25日 横浜家庭学園(神奈川県)
第2回ワーキングでは施設のコアメンバーと研究会メンバーで施設不適応、性的問題を起こした入所児童のケースカンファレンスと対応方法について協議しました。
女児の性的な課題や自傷行為において、生育歴から考えられる再生的被害化傾向や境界線の崩れ、注意引き行動への理解が必要であるという意見がでました。
施設では対応に苦慮するも加害児である女児を他の施設に移す(措置変更)といった対症療法に努めるのではなく、どう向き合うのかという視点で終始関わっており、施設として施設職員の受援力の大切さを訴えていました。
施設内で性の問題や不適応行動を起こした児童が、治療の視点から個別支援プログラム依存に陥るわけでも、児童相談所の児童心理司にトラウマケアを一任するわけでもなく、普段のくらしの中でいかに職員間が統一した関わりを行っていくかが大切であるという意見がでました。具体的には、施設職員と児童が、力に頼らなくていいような関係性を作っていったり、直接支援の際、緊急事態に施設職員が安心できるシステムを構築する必要性がみられました。
次回ワーキングでは今回実施したカンファレンスを通して、性の問題や不適応行動を起こした児童への統一した支援の在り方を協議する。女性児童のみの児童自立支援施設に特化した仕組みを構造化していきます。
また、ロードマップ推進のための実践講座として“援助のツールとしてのケースカンファレンス”を並行して実施していく予定です。
2022年5月17日愛隣園(沖縄県)
今回は施設職員が主体でワーキングメンバーだけでなく、施設職員全体にオンライン研修を実施。施設のなかで経験年数の浅い職員が増えてきた中で、取扱いにくい性に関する支援に対してなかなか共有することが難しい状況があり、チームとしてアプローチすることで、負担感の軽減や情報の共有の必要性の意識化が図れればという意見が出てきたため、テーマとしては「性に対するチームアプローチ」とし、職員間の情報共有の大切さや職員の個々の性に対するとらえ方等の違いを知ることを目的とした。 研修の前半は当研究会で実施した全国調査の結果の報告や性の定型発達に関する講義。 後半は「複数人の入浴は可能か」という内容をテーマとし、グループ討議ならびに意見の共有を行った。
研修後のアンケートでは、職員間の引継ぎや話し合いが大事。各ホームの違いや具体例が聞けた。職員間での許容範囲が少しずつ違うので、「職員の育ちや認識を共有した上で対応したほうがいい」、「その方が共通理解にもつながる」「多くの職員からこういう機会を設けて話し合いすることの大切さを感じた」等の内容があった。